第一レポート 裁判例紹介 離婚②:不貞行為の証拠

 今回の第一レポートでは、日頃、よくご質問いただく「どのような証拠があれば不貞行為の存在が認定されるのか。」という問題について、いくつかの裁判例を紹介することを通して、裁判所の判断の傾向をご説明したいと思います。

<肯定例>

①名古屋高等裁判所平成21年5月28日判決(判例時報2069号50頁)

 夫の財布の中等から、かなりの量のラブホテルの割引券や利用カード、あるいは、ホテルの名前入りのライター等が発見されたこと、氏名不詳者と旅行に出掛け、湯豆腐店で2人でした食事の代金を自分のカードで支払ったこと、その後ほどなくして離婚を求めるメールを一方的に妻に送りつけたことなどを総合考慮して、不貞行為の存在を認定した裁判例。なお、この裁判例は、夫の悪意の遺棄(民法770条1項2号)及び不貞行為(同項1号)などを理由に離婚を認容するとともに、財産分与につき、清算的財産分与の基準についての一般論、退職金・確定拠出年金の財産分与性、妻の夫に対する金銭給付、さらに、扶養的財産分与として夫に妻に対するマンションの賃貸を命じるなど多くの争点について判断している非常に参考になる裁判例です。

②東京地方裁判所平成17年5月27日

 夫が出張するに当たり、その目的、同伴者につき、妻には1人で行くなどと嘘の説明をしていたこと、夫が出張の目的の会合があった都市ではなく、その近くの観光地のホテルを予約し、その理由につき通常考えられない説明をしていたこと、夫が出張2日目には会合に出席せず、寺めぐりをしており、その出席が必須でなかったこと、出張2日目の寺めぐりは1人であり、同伴者は会合に出席していたと言っていたが、それも嘘であったことから、当該ホテルに宿泊したのは、同伴者と観光地で過ごすためであったことを認定し、夫とその同伴者との不貞行為を認定した裁判例。

③東京地方裁判所平成18年3月14日

 ホステスが夫に頻繁にメールを送信していたところ、同メール中には返信を示す「Re」が多数見受けられる上、その内容からみても夫の返信に対応していることは明らかで、ホステスが一方的に送りつけてきたものではないとし、そのメールの内容からすれば、ホステスとの間に肉体関係を持っていたことが認められるとした裁判例。

<否定例>

①東京地方裁判所平成17年8月25日判決

 夫がバイアグラの郵送を受けたことがあり、バイアグラを使用したことがあることを自認していること、夫が繁華街の中の店舗に入っていく状況や飲食店に女性と入店していく状況が写真に写っていることまでは認められるものの、夫が不貞行為に及んでいることまでを認めるに足りないとした裁判例

②東京地方裁判所平成15年1月29日

 夫と女性とが相当親密な交際があったこと、そして、単に参禅会の会員としての交際といった域を超えて、毎週のように、ときには1週間に数回もメールの交換や待ち合わせをしたり、また、日曜日に夫が女性宅を訪問して1日を過ごしたり、女性宅に惣菜を届けたりといった交際振りであったころ、夫が女性に130万円以上の金員を送っていること、その女性と推測される人物から夫にあてて、ホテルのツインの部屋を予約したことや引っ越しのお祝いといった趣旨のメールが届いていることが認められるが、なお夫とその女性が不貞関係にあるとまでは断じ得ないとした裁判例。

<裁判所の判断の傾向>

 上記の各裁判例は、ごく一部のものですが、公にされている裁判例によれば、不貞行為の主な認定資料としては、当事者及び関係者の各供述、手紙、写真、メール、調査会社の調査報告書、カードの利用明細等があり、事実認定上指摘されている事情としては、不貞相手との親密な様子(腕を組んでいる、キスをしているなど)、不貞相手と不貞行為者の住所の関係(近くに転居してきたことなど)、不貞相手との交際経過と相手方配偶者との別居ないし家庭内別居、離婚交渉に至る経過との関係、ラブホテルの利用、合理的な理由のない相当長期間の経済的な援助、不貞行為者の供述の不合理性等が挙げられ、これらの事情を総合考慮して、不貞行為の存在を認定しています。

 これに対し、例えば、特定の相手方に対する恋愛感情、風俗店での遊興、バイアグラの購入及び使用だけでは、不貞行為の存在を認定することは困難であるとされています。

 したがって、一概に~がなければ立証することができないということはなく、証拠となりうる資料、事情を丁寧に積み重ねて、不貞行為の存在を立証する必要があるということができます。

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