結婚をして夫婦になると、それぞれの両親・親戚との付き合いもしていかなければなりません。それが原因で夫婦の関係が上手くいかなくなったという話しをよく耳にします(よく言われる「嫁姑問題」などです。)。
それでは、それを理由として離婚することは認められるのでしょうか。
離婚原因は、あくまでも当事者である夫婦間における事情のみを考慮するのが原則ですので、一方配偶者と他方配偶者の両親・親族との間に不和があったというだけで、直ちに婚姻関係の破綻が認められることにはなりません。
そのような不和について、他方配偶者がどう関わっていたのか、それによって、婚姻関係がどのようになったのか、ということが問題となります。
一方配偶者と他方配偶者の両親・親族との間の不和を理由とした離婚請求につて、下記のような裁判例があります。
① 妻と夫の両親との不和につき、妻がどんなに努力しても、夫が従前の無関心な態度を改め、積極的に家庭内の円満を取り戻すよう努力しない限り、家庭内の融和を取り戻し、これを維持することは不可能であるが、夫にはそのような態度が見られず、現在夫には婚姻関係を維持する意思すらないことから「婚姻を継続し難い事由」があるとした裁判例。
② 夫婦ともに医師の家庭において、妻の母が夫を嫌い、娘(妻)に夫との離婚を強く勧めたところ、妻が母の意見に同調して、夫に医師としての研究生活を諦めさせ、臨床医として働くことを求め、さらに、夫所有名義の家屋を売却し、妻の母名義で借りた借家での生活を要求するなど、夫に対し無理強いしたため、夫の妻に対する信頼感が失われ、夫が婚姻維持の意思を喪失したことから、婚姻を継続し難い重大な理由が生じているとして、夫からの離婚請求が認められた裁判例。
これらの裁判例をみると、他方配偶者の両親・親族との間に不和が生じたとしても、他方配偶者本人がどうそれに関わっていたのかが重要になってくるようです(上手くやってもらいと言うだけではなく、少なくとも調整しようと努力することが必要ではないでしょうか。)。